約 1,076,870 件
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/713.html
使い魔は刺激的-1 使い魔は刺激的-2 使い魔は刺激的-3 使い魔は刺激的-4 使い魔は刺激的-5 使い魔は刺激的-6 使い魔は刺激的-7 使い魔は刺激的-8 使い魔は刺激的-9 使い魔は刺激的-10 使い魔は刺激的-11 使い魔は刺激的-12 使い魔は刺激的-13 使い魔は刺激的-14 使い魔は刺激的-15 使い魔は刺激的-16 使い魔は刺激的-17 使い魔は刺激的-18 使い魔は刺激的-19 使い魔は刺激的-20 使い魔は刺激的-21 使い魔は刺激的-22
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1518.html
貴族狙い専門の盗賊、「土くれ」フーケはこの学院に潜入してからの日課である宝物庫のほころび探しを今日もやっている。 強力な固定化がかかっているとはいえ、物理的な衝撃への魔法防御はされてないまでは判明したものの、壁の厚さ自体が数メイルもあるせいでなかなか難しい。 破壊するだけなら破城槌を練成して、得意のゴーレムに振り回させればいいのだが、中のお宝が無事ではすまない可能性が高いためなるべくやりたくない。 先週の決闘騒ぎで塔の一部が崩れたときは狂喜乱舞したが、 よく確認すると微妙に宝物庫からずれていて結局涙をのんだ。 いい加減潜伏も疲れてきた、何とかしなければ…… そうだ、力の掛け方を変えればどうだろうか。 「ねえ、セッコ。」 「何だ」 「何で昼あれだけ厳重に縛ったデルフリンガーの鞘が外れてるのよ。」 「うるせー娘っ子、あんな縛られたら苦しくて生きていけねえや。」 ああもうウザい! 「情報が得られねーかな、と思って」 「この様子じゃ全く期待できないんだけど。 だってさっきから何聞いても、わからん・覚えてねえ ばっかりじゃない。 固定化がサビる程の年月経過してるくせに記憶喪失とか、本当に使えないわね。」 「覚えてねーもんは仕方ねえだろが!なあ相棒!」 「それ言われたらオレも記憶喪失なんだけどよおー。」 あ゙―そういえばそうだった…… 「まあ若いんだから気にすることないわ。」 「わかった。」 「少しは気にしろよ相棒!」 「少なくともあなたが言うセリフじゃないわよ!」 とりあえず鞘で思い切りぶん殴る。 「プゲッ」 相変わらず叫び声が汚いわね。超硬いし、殴られ屋でもやらせようかしら? 「ひでー ひでーよ!」 本当に使えないわこいつ。 記憶を取り戻す魔法とかないのかしらね、喋らせる薬や魔法はアホほどあるのに。 とりあえずデルフリンガーを鞘にしまう。 セッコが嫌そうな顔をしたので、縛るのは止めといた。わたし優しいわね。 「ルイズ」 「なによ。」 「変な音がするぜぇ」 「何も聞こえないわよ。」 「オメー耳が悪いな」 「あなたが良すぎるのよ。で、どんな音?」 「ドリルが回ってるみてーな感じ。」 「どりるって何よ。」 「壁とか鉄板とか硬い物に穴あけるもの」 「聞いたことないわね。」 「この辺には無いんじゃねーの?多分」 「なんで無いものの音がするのよ。」 ああ、気になるわ 「見に行かない?案内して。」 「わざわざ行くのかよぉ」 「そもそもあなたが変って言ったんじゃない。行くわよ。」 「……わかった。」 所変わって女子寮5階。 「タバサの方から私を呼ぶなんて珍しいわね。」 本当に珍しい。 「ルイズ・ヴァリエールの使い魔を調べて欲しい」 「は?」 「気になる。部屋、隣。」 タバサってばあんなのがいいのかしら? ま、外見以外はタバサと似てなくもないかもしれないけれど。ご飯優先とか。 「応援するわよ。」 「勘違い。」 「あ、能力ってことね。せっかくタバサにも春が来たと思ったのに、残念。」 相変わらず固い子ねぇ。まあそこがいいって人もいるかもね。 「キュルケ。」 突然タバサが私を引っ張る。 「ちょっと、どうしたのよ?」 さらに引っ張られる。 「な、なによあれ……」 窓から見えたその光景は、いろいろと不自然だ。 まず巨大ゴーレムが学園内に居る時点でおかしい。 宝物庫ってあの辺りだったかしら?泥棒? それはまだいい。 そのゴーレムは遠目では微動だにしてないように見える。 いくら巨大ゴーレムとはいえ、あの宝物庫の壁は簡単には破れないはず。 壁を破るならもっと激しく動いているはずだし、 既に首尾が終わっているならあんな目立つ物を残す理由がない。 「変。」 そうね、どう考えてもおかしいわよね。 「どうする?」 「見に行く。」 そう。 いけるとは思った。我ながら素晴らしい思い付きだったわ。 でも……でもねえ…… 「うふふふふふ」 まさかここまで効果抜群なんてねえ……もしかして私って天才? これ、もしかして歴史に残るんじゃないかしらあ? 回転を、力に!一点集中!!! 着実に宝物庫の壁は削れていく。 もう少しで[破壊の杖]に手が届く! 建物から出てきたルイズたちの見たものは。 「な、なによあの巨大なゴーレム」 「やっぱドリルの音だったじゃねーか」 ゴーレムの影に人がいるみてーだな、女か? ルイズに言ったら追いかけかねないし黙っとくかぁ。 「おでれーた……」 左腕を高速回転させながら宝物庫の壁に突っ込んでいる、 身長30メイルはあろうかというゴーレムだった。 タバサとキュルケはシルフィードに乗り、上空からそのゴーレムを観察していた。 「でかいわね」 「フーケ?」 「タバサもそう思う?」 「かなり」 「ところで、あのゴーレム崩れ始めてない?」 「……」 ヤバい、人の気配がしてきたわ、急がないとねえ。 ん、手ごたえが変わった!貫通したかしら? すばやく宝物庫に滑り込み、犯行声明を刻む。 「破壊の杖、確かに領収いたしました。土くれのフーケ。」 次に壁を破るときも、あの技を使うことにしよう。 なんか名前でもつけてやろうかしらね? 自分の発想に乾杯。 そんなことを思いつつ、フーケは闇の中へ消えていった。 「と、止めなきゃ!ファイアボール!」 よし、命中! 失敗の爆発だけど。 「「おい」」 「何よ!ファイアボール!」 ああ、外れたわ。 爆発だけど。 「よく見ろ、何もしねーでも崩れてるぜぇー」 「え?」 「え、え、ええ!」 ゴーレムが こっちに向かってくる。 いや、こっち側に向かって崩れてくる…… 「きゃああああ」 ドビチャャアアアア 「うおおおわあ、っとと」 「危なかったなー相棒。」 「うおう」 「なあ、相棒、相棒の主人はどこ行った?」 「おあ」 「ちょっと……早く助けなさいよ……」 先走って突撃したルイズは、崩れてきたゴーレムの土をもろに被って首まで埋まっていた。 「無様ね、ルイズ。」 「きゅいきゅい!」 「……」 「なんであなた達がここにいるのよ。 私を助けにきたんなら早く掘り出してちょうだい。」 「通りがかっただけよ。」 「誰でもいいから助けなさいよ!セッコもボーっと見てないで!」 「アレ……」 セッコが宝物庫の方を指差している。 人間は首を180度回せないのよ、見えないわ。死ね。 「あの宝物庫の壁があんなになるなんて、何をしたの?」 「最低でもトライアングル。」 「いいから早く助けてよ!」 何とか掘り出してもらって宝物庫を見る。 壁が、円形にくりぬかれていた。 翌朝。 トリステイン魔法学院では、昨夜からの蜂の巣をつついた騒ぎが続いていた。 何せ、秘法の破壊の杖が、ゴーレムで壁をぶち破るなどという無茶な方法で破られたのである。 宝物庫には、学院中の教師が集まって口々に好き勝手なことを言っている。 「土くれのフーケ!貴族の財宝を荒らしまくっているとか! 学院にまで手を出すとは、なんと不遜な!」 「衛兵は一体何をしていたんだね?」 「いや当直は誰だ!」 「寝てたわ!ああ寝てたわよ!でもあんたも一昨日当直サボって 酒かっくらってたじゃない!人の事言えるの!」 「あまりわめき散らすでないぞ。ハッキリ言って油断してた全員が悪いわ。 わしも含めてのう。」 学院長老オスマンの登場により、ようやく静寂が訪れた。 「で、犯行の現場を見ていたのは誰だね?」 オスマン氏が尋ねる。 「この3人です」 コルベールがさっと進み出て、自分の後ろに控えていた3人を指差した。 ルイズにキュルケにタバサの3人である。 デルフリンガーとそれを持ったセッコもそばにいたが、 というか最初に異常に気づいたのはセッコなのだが…… やはり「使い魔」は人として数えられないらしい。 「ふむ……君たちか。」 オスマン氏はふと興味深そうにセッコを見つめた。 なんだぁ?このジジイホモの気まであんのか? 口には出さないことにして、少し睨みつけておく。 オスマン氏が視線を外し、再び口を開く。 「詳しく説明したまえ。」 ルイズが進み出て見たままを述べた。 「あの、大きなゴーレムが壁に穴を開けていたんです。 近づいてみたときには既にモノは盗まれた後みたいで、 ゴーレムは崩れ始めていました。」 後ろで2人と1匹?と1本がうなずく。 「黒い服を着た人影をチクリとだけ見たぜ。」 セッコが補足した。 「ふむ……」 オスマン氏がヒゲをねじって遊んでいる。 「後を追おうにも、手がかりナシかのう……」 それからオスマン氏は、気づいたようにコルベールに尋ねた。 「ときに、ミス・ロングビルはどうしたね?」 「それがその……朝から姿が見えませんで。」 「この非常時に、どこに行ったのじゃ。」 「どこでしょう?」 そんな風に噂をしていると、ちょうどミス・ロングビルが現れ、後ろから声をかけてきた。 「朝ここに来る前、フーケについて調べろと私に言ったのはオールド・オスマンじゃありませんか。今まで聞き込みしてたんですよ!」 コルベールがかわいそうな目でオスマン氏をチラ見し、そして視線をそらした。 「あ、ああ、そういえばそうじゃったの。それで首尾はどうじゃね?」 「はい、フーケの居所がほぼ分かりました。」 「な、なんですと!」 コルベールが、素っ頓狂な声を上げた。 「誰に聞いたんじゃね?ミス・ロングビル。」 「はい、近在の農民に聞き込んだところ、 近くの森の廃屋に入っていった黒ずくめのローブの男を見たそうです。 おそらく、彼はフーケで、廃屋はフーケの隠れ家ではないかと。」 オスマン氏は、目を鋭くして、ミス・ロングビルに尋ねた。 「そこは近いのかね?」 「はい、徒歩で半日、馬で4時間といったところでしょうか。」 「すぐに王室に報告しましょう!山狩りです!」 コルベールが叫んだ。 オスマン氏は首をひねると目をむいて怒鳴った。さっきまでとはえらい違いだ。 「ばかもの!王室なんぞに知らせていたらその間に逃げられるわ! その上……宝物庫が破られたなど、魔法学院の立場が更に悪くなる、 冗談ではない!当然我らで解決する!」 ミス・ロングビルは微笑んだ。まるでこの答えを待っていたかのように。 「では、捜索隊を編成する。我と思う物は、杖を上げよ。」 「なあー、ルイズよお、何でわざわざ志願したんだあ?」 ミス・ロングビルが引く馬車の中で、セッコはルイズに訪ねた。 タバサとキュルケも首を縦に振り、デルフリンガーがカタカタと揺れる。 「だって、誰も挙げなかったじゃない。」 「確かに学校の先生なんて信用できねえけどよおー」 デルフリンガーが横から口を挟んだ。 「とりあえず娘っ子はあの二人に礼を言うべきだと思うぜ。」 「うるさいわね剣の癖に!あとせめて名前で呼びなさいよ! タバサはともかく、ツェルプストーに礼なんて……っ!」 「オレにはスゲー仲よさそうに見えるけどなあ。」 「んだ」 デルフリンガーがセッコに頷く。 (なーデルフリンガー) (何だ相棒。) (あの人影は確かに女だと思ったんだが、[フーケ]って男なのかぁ?) (俺様って目はあまりよくねーんだよ。) (使えねーなあオメー) (おめーこそ剣に視覚を期待すんじゃねーよ馬鹿野郎。) (ねえ、タバサ、あんたもなんで志願したのよ。) (気になる) (ルイズが?そもそもタバサとあいつが知り合いだったことに驚いたけど。) (違う) (ああ、大体分かったわ。あんまり危ないことしちゃダメよ。) タバサとキュルケがこそこそ話している。 なんだかわたしだけ仲間外れみたいじゃない。まったく。 そもそもあの状況で誰も志願しない先生達ってのはどうよ。 ああもう。着くまで寝とこうかしら。 所変わって学院長室。 「オールド・オスマン?」 コルベールが尋ねる。 「彼女達を行かせてよかったのですか?」 「仕方ないじゃろう。他に誰もおらんかったんじゃし。 ま、生徒とはいえミス・タバサとミス・ツェルプストーはトライアングルじゃし、急襲すれば大丈夫じゃろ。 それに、あの使い魔の印が本物かどうかも確かめたいんじゃ。 もし、[ガンダールヴ]そのものなら単体でもフーケごときに遅れを取ることはあるまいよ。」 コルベールの顔は浮かない。 「まあ、そうですが……」 「わしは学院を離れられんし、コルベール君が戦いたくないというのではなあ」 「ううむ……しかし……」 「何か気になることでもあるのかね。」 「あの宝物庫の壁ですよ。フーケはラインかトライアングルという説が一般的ですが……あの穴はどうやってあけたんでしょう?」 宝物庫の壁にはスクウェアの「固定化」が何重にもかかっている。 ゴーレムでぶん殴るにしても、あんな綺麗な穴になるわけがない。 「いくらなんでもスクウェアってことはないと思うんじゃが。」 「いや、それはそうなんですが。」 これ以上オスマン氏に愚痴を言っても始まるまい。 コルベールは学院長室を後にした。 To be continued…… 戻る< 目次 続く
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2586.html
ある日の夜、キュルケはいつもの通りに髪の毛を整え、下着姿のようなラフな格好で隣の部屋へ向かった。 隣の部屋は内側から堅く施錠されているが、部屋の主は魔法による施錠が苦手なので魔法に対する抵抗力がない。 あっけなく、キュルケの『アンロック』で鍵は開かれてしまった。 「ヴァリエール…? 起・き・て・る・?」 「……」 部屋に入り込んだキュルケを無視しているのか、本当に寝ているのか、ルイズはベッドに寝たまま返事をしない。 ルイズに近づいたその時、ガタ、と別の音がして扉が開く。 「キュルケ!今日こそは僕と夜のアバンチュールを」 「フレイム」 キュルケは振り向かずに、使い魔のフレイムを呼んだ。フレイムはキュルケを追ってきた男子生徒の裾を引っ張って転ばせると、火を噴いた。 「あっづあ゛あああああああ~~~!!」 哀れ男子生徒は、丸見えになった尻を押さえながら慌てて逃げ出した。 「ンフフ♪」 フレイムは、舌なめずりをしてベッドに近づく主人を見ながら、器用に尻尾で扉を閉めていた。 ■■■ 「どーしろって言うのよ」 ルイズはベッドの角に座り込んで、満足そうな表情で眠るキュルケを見た。 いつの間にか部屋にキュルケが居て、いつの間にか自分に覆い被さり、妙に艶っぽい唇で『お願い…』とか言われて何が何だか解らなかった。 なんだコイツついに気が狂ったか、と思ったがそもそもの原因は自分の使い魔である『ハーミット・パープル』にあるのはわかりきっている。 とりあえず追い出そうとしたが、ルイズは両手を掴まれてベッドに押さえつけられてしまった。 これはやばい、と感じたルイズは思わず『ハーミット・パープル』を発動。 棘のついた茨と言うには、ちょっと太くて棘も柔らかい気がするそれは、人を傷つけない程度の刺激を与えるのか、とろけるような感覚(マッサージです)を感じるらしい。 優しいイソギンチャクに全身をくまなくマッサージされ、愉悦の声を上げたキュルケに、ルイズは冷や汗をかいた。 それだけならまだしも、ほんのちょっと、ほんの少し優越感を感じてしまった。 ルイズは「もしかしてこれが私の本心?」と考えて、ああ嫌だ嫌だと頭を振るばかり。 ハーミット・パープルは文字通りルイズと一心同体。使い魔が勝手にやったことだと言い逃れはできない。 ルイズは悩み疲れたのか、それとも考えることを止めたのか、寝ることにした。 満足そうに眠るキュルケの隣に倒れ込み、そのまま寝てしまった。 『…そんなんだから誤解されるんじゃねーの?』 デルフの呟きに返事はなかった。 ■■■ 「…………」 「…!」 翌朝、朝食を終えたところで廊下ですれ違ったミス・ロングビルに、熱っぽい視線を送られたルイズ。 冷や汗を流しつつ教室へと逃げ込んだが、さも当然とキュルケが隣に座り、更にその隣にタバサが座る。 タバサはルイズの近くに座ることで周囲の喧噪から離れようとしているのだが、事情を知らない第三者が見れば、キュルケを巡ってタバサとルイズが争っているようにも見えるし、タバサ→キュルケ→ルイズの三角関係にしか見えない。 ちらりと周囲を見ると、興味深そうに三人を見ていた他の生徒は目をそらしてしまう。 「はぁー…」 お手本のようなため息をついて、机に突っ伏した。 しばらくして、教室の扉がガラッと開き、ミスタ・ギトーが現れた。 生徒達が席に着くと、ギトーはわざとらしく咳払いをした。 「では授業を始める。知っての通り、私の二つ名は『疾風』。疾風のギトーだ」 教室を見て、ギトーはつまらなそうにしている一人の生徒を見つけた。 「最強の系統は知っているかね? ミス・ツェルプストー」 「『虚無』じゃないんですか?」 「伝説の話をしているのではない。私は現実的な答えを聞いてるんだ」 キュルケはこの教室唯一の『火』のトライアングルであり、いろいろな意味で目立つ生徒だ、ギトーが挑発している野田すぐに解った。キュルケは不敵な笑みを浮かべて答える。 「「火』に決まっていますわ。すべてを燃やし尽くせるのは火と、じょ・う・ね・つ ですもの」 ちらりとルイズに流し目を送る、ルイズは気まずそうに目をそらした。 「ふむ。残念ながらそうではない。試しに、この私にきみの得意な『火』の魔法をぶつけてきたまえ」 杖を引き抜きつつ、ギトーがとんでもないことを言い出した。 キュルケが火のトライアングルだと知る生徒も、キュルケ自身もこの言葉にはぎょっとした、いくら何でも危険すぎるのだ。 「どうしたね? 君は確か、『火』系統が得意なのではなかったかな?」 「…火傷だけでは済みませんわよ」 他人を小馬鹿にするような、キュルケの笑みが消えた。ゆっくりと胸の谷間から杖を抜き、キュルケが。 「かまわんよ。本気でやりたまえ。有名なツェルプストー家の赤毛が飾りではないのならね」 キュルケの髪の毛がふわりと浮いた、怒髪天を突くということわざがハルキゲニアにあるか解らないが、キュルケが起こっているのは誰の目にも明らかだった。 杖を掲げて呪文を詠唱すると、小さな火の玉が現れ、更に詠唱を続けると直系メイルほどの火の玉となった。 生徒達が驚き、慌てて机の下に隠れたその時、火の玉がギトーに向かって放たれる。 ぼおおおっ、とうなりを上げて襲い来る火の玉を、風系統の魔法でいとも簡単に消し飛ばした。 その瞬間烈風が舞い上がり、火の玉の向こうにいたキュルケはたまらず吹き飛ばされた。 「あ」 尻餅をつくかと思われたその瞬間、キュルケの体がふわりと抱き留められた。 キュルケはきょとんとした顔で、タバサを見た。違う、とタバサが首を横に振る。 ルイズを見ると、やってしまった…と言わんばかりの表情でキュルケを見ている。 いくら何でも吹き飛ばされるのはなー、と思ったときにはもう遅い、ハーミット・パープルはクッションのようにキュルケを抱き留めていた。。 「……べ、べつにあんたなんかを助けようとしたわけじゃないんだからね!」 (ぽっ) 逆効果だった。 ■■■ ■■■ さて、その後ギトーに睨まれもしながら授業は進み、ギトーが風系統の真髄を見せようとしたその時、教室の扉がガラッと開かれた。 「あややや、ミスタ・ギトー。授業中ですが失礼しますぞ」 「ミスタ・コルベール?」 教室に入ってきたコルベールは、礼服と言うには飾りすぎた格好をしていた。 ロールした金髪のカツラや、レースや刺繍の飾りがついたローブは、儀式的なものであって礼服にしては飾りすぎている、普段使われる物ではない。 「おっほん。今日の授業はすべて中止であります!」 コルベールは重々しい調子で告げる、すると教室中から歓声があがった、その歓声を押さえるよう両手を振りつつ、コルベールが言葉を続ける。 「えー、皆さんにお知らせですぞ。恐れ多くも、先の陛下の忘れ形見。 我がトリステインがハルケギニアに誇る、可憐な一輪の花、アンリエッタ姫殿下が、本日ゲルマニアご訪問からのお帰りに、この魔法学院に行幸なされると、お使者からの通達がありました」 その言葉に、どよ…と教室に声が上がった。 「おほん! えー、皆さん、本日はトリステイン魔法学院にとって、始祖ブリミルの降臨祭に並ぶ、めでたい日であります。 よろしいですかな、粗相があってはなりません、急なことですが今から全力を挙げて歓迎式典の準備を行うのです。 授業は中止となりますが、今日は皆さんの授業の成果、貴族としての姿をお見せする大事な日となります!生徒諸君は正装し門に整列、姫殿下をお出迎えする栄誉に預かります!」 生徒たちは、緊張した面持ちで一斉に頷く。コルベールは重々しげに頷き、目を見張って怒鳴った。 「諸君らが立派な貴族にしたことを、殿下にお見せするこの機会! 御覚えがよろしくなるように、しっかりと杖を磨いておきなさい。よろしいですかな!」 「「「「はい!」」」」 生徒達は一斉に返事をした。 満足したコルベールは、勢いよく向きを変えて教室を出ようとしたが、カツラのサイズが合ってないのかそのまま滑り落ちてしまう。 「…よく磨いてる」 タバサの呟きが、静まった教室にはよく通った。 ぷっ、と笑いをこらえる音が教室中から聞こえてくる。 「くくく…」 意外にも一番ウケたのはギトーらしく、口元をひくつかせながら目をそらしている。 「ミスタ・ギトー!」 「い、いや失礼、生徒諸君。小さなミスもないよう気をつけること! ぷっ」 ■■■ それから間もなく準備は整い、魔法学院の正門にアンリエッタ姫殿下の一行が現れた。 整列した生徒達が一斉に杖を掲げ、その間を馬車、グリフォンに乗った魔法衛士隊、従騎士達が通り抜けていく。 「…あれがトリステインのお姫様ねえ。私の方がずっといい女だと思わない?ルイズ…って、ルイズは?」 後ろの列にいたキュルケは、近くに並ぶはずのルイズを探したが、どこにもルイズの姿はなかった。 「うぐぐぐ…この馬鹿触手!駄目ったら駄目よ!不敬だから!恐れ多いんだから!」 部屋に戻って着替えていたルイズは、半裸のままハーミット・パープルを踏みつけ、縛り、なんとかお仕置きをしようとしていた。 ルイズはトリステインの王女、アンリエッタの遊び相手を務めたことがある。幼かった王女の姿を思い出し…次に自分より大きな胸に育った数年前の姿を思い出して、今はもっと大きくなっているのかと思い、ハァとため息をついた。 すると、ハーミット・パープルが突然動きだした。 その動きは、ド○ゴン○エストに登場するスライムを2匹、ぐるぐる巻きにして捕まえるような形で、これはヤバイ!と感じたルイズは「大変な腹痛で整列できません!」と言い訳をしてお出迎えをサボり、使い魔にお仕置きをしていた。 しかし踏みつけたり、投げたり、乗馬鞭で叩いたりと思いつく限りのことをしても、全く効果がない。 「このっ!この…こいつ!」 使い魔とは一心同体、ハーミット・パープルはルイズの動きを読みひょいひょいと躱していく。その上物質をすり抜ける能力があるので、ダメージはゼロであった。 それを見たデルフリンガーは、カタカタと鍔を鳴らして言った。 『やめとけって、無駄だからよー』 「あんたは黙ってなさいバカ剣!」 怒り心頭のルイズにはとりつく島もない。 『俺を握ればコントロールできるのになー』 「知らないわよ! って、え?」 本当かしら?と疑問に思ったルイズだが、デルフリンガーの言うとおりにしてみると、左手のルーンが輝き、ハーミット・パープルの動きがルイズのコントロール下に入った。 「なるほど…武器を使えるのがガンダールヴのルーンだけど、私とハーミット・パープルはルーンを共有しているだけじゃなくて、ハーミット・パープル自身が武器扱いになるのね」 『そーいうこった。その代わりそいつの利点も一つ殺してることになるぜ』 「どういう事よ」 『俺は人間みたいに目で物を見ちゃいねー。そいつも同じだ。嬢ちゃんがそいつの力を全部操ろうとすると、二人分の体を一人の頭でこなすって事になんだ。 例えば突然後ろから殴られるとすんだろ、そいつが自動的に反撃したり、襲撃をあらかじめ教えてくれる。だけど嬢ちゃんが操っているうちはその力が鈍くなんだ』 「…それは。確かに便利だけど、勝手な動きをされちゃ困るときがあるの!それに、ずーっとデルフを握ってるのは大変よ、それじゃ教室にも入れないわ」 『そういうのは…まあ、小さな隠し武器でも持ってるしかないなあ』 「それじゃ暗殺者だと思われるわよ! あっ……それじゃ、もしかして私、一生貴族のパーティーにも出られないんじゃ…」 『あー、その、何だ。なんとかなるって。多分』 「…寝るわ」 ルイズは着替え途中のまま。拗ねたようにベッドに潜り込んだ。 「うう…姫様申し訳ありません…ルイズはもう姫様に近づけません。 お友達と呼んでくれた姫様だからこそ近づけません……」 「でも…私のことを覚えていて下さるなら、お話したかったわ…」 ■■■■ その夜。 「お久しぶりね。ルイズ・フランソワーズ」 ルイズの部屋に現れたアンリエッタ王女は、感極まった表情を浮かべて、この世の終わりのような顔をしたルイズを抱きしめた。 「ああ、ルイズ、ルイズ、懐かしいルイズ!」 「姫殿下、いけません。こんな色魔のような触手の餌食にもといこんな下賤な場所へ、お越しになられるなんてホント……」 ルイズの苦労はまだまだ続くらしい。 ■■■■■■■■■■■■■■ 続かない。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1067.html
「ナルホド…ツマリコウイウ事カ? 『オ嬢サンハ私ノ新タナ主人ダ』…ト」 「『新たな』ってどういう事よ? あんた、前に別のメイジの使い魔だったわけ?」 「イヤ、私ノ以前ノ主人ハメイジデハナイ」 「じゃあ何よ?」 「『スタンド使イ』ダ」 「スタンド…使い?」 ゼロのスネイク 2話 時刻は既に真夜中。 窓の外では月が淡い光を放ち、その光はルイズの部屋にも注いでいた。 で、何故こんな真夜中になってまでルイズとホワイトスネイクが話し込んでいるのかというと―― 「だから『スタンド使い』って何よ!?」 「文字通リ『スタンド』ヲ使役スル者ダ。私ハ『スタンド』ダカラナ」 「『スタンド』? 何の種族よ? そんな系統の亜人なんて聞いたこと無いわ!」 「無理ハ無イ。私ノ予想ガ正シケレバ、私ガ『以前』イタ場所ト『今』イル場所ハ根本的ニ異ナル世界ダカラナ」 「はあ? どういうことよ?」 「早イ話、別ノ世界カラ来タトイウコトダ」 「…そんなわけ無いでしょ。第一聞いたこと無いわよ? 召喚の儀式でまったく別の世界から使い魔が呼び出されるなんて」 一体どれだけこの話題をループしただろうか、とホワイトスネイクは思った。 この小娘――ルイズの服装にしても、この部屋の内装にしても、加えて自分とルイズとのまったく話が咬み合わない事からしても、 自分が以前いた世界――つまり地球だが、そことは別の世界にワープさせられた、とでも表現するのが正しいのだろう。 ここはプッチ神父が目指した「天国」こと一巡後の世界では無いらしい。 そのことも含めて、ホワイトスネイクはこのルイズに話てはみたのだが…まったく通じない。 ホワイトスネイクも色々言い回しを工夫したが、 「異世界から使い魔が召喚されるわけないでしょう。ファンタジーやメルヘンじゃあないんですから」といった調子だ。 。 さて、このまま夜が明けるんじゃないか、とホワイトスネイクが思い始めた頃―― 「はあ…まあいいわ。あんたがどこから来たのかって事はとりあえず後回しよ。 あんたはわたしの使い魔なんだから、わたしの使い魔としてしなくちゃあならないことを説明するわ。 いい? 心して聞くのよ?」 「分カッタ」 「まず、使い魔は主人の目となり耳となる。つまりあんたが見えてるものがわたしにも見えるってことよ」 「ソレハ当タリ前ノ事ジャアナイノカ?」 スタンドであったホワイトスネイクには当然のことである。 スタンド自体が視覚を持たない場合もあることにはあったが、幸いホワイトスネイクは視覚を持っている方だったからだ。 とはいえプッチ神父から大きく離れているときは自分の視覚は自分に一任されていたが、 ある程度の距離ならばプッチ神父は自分と視覚聴覚を共有していた。 だが―― 「…見えないわね」 何故かルイズにはそれが出来なかった。 「出来テ当タリ前ト思ウコトガ大事ラシイゾ」 昔、DIOの館で見た両手が右手の占い師のババアが言っていたことを受け売るホワイトスネイク。 「それもそうね。 ~~~~~~~~あたしはできるあたしはできるあたしはできるあたしはできるあたしはできるッ! よし、これで!」 しかし。 「・・・やっぱり見えないわ」 「訓練ガ足リナインジャナイノカ?」 「そんなわけないでしょ。使い魔と視覚を共有するのに訓練なんて要るわけ無いじゃない」 召喚の儀式を成功させるためにありとあらゆる書物を読み漁ったルイズからしてみれば当然の事である。 だがホワイトスネイクにはそれが納得いかない。 「イヤ・・・ソンナハズハナイ。第一私ハ視覚ノ共有ガ可能ナタイプノスタンドダシ・・・」 「もういいわ。あんたがちょっと変わってるだけってことよ」 おかしいのは共有できない君の方だ、とホワイトスネイクは思った。 「じゃあ次よ。使い魔は主人のために秘薬の原料材料を集める」 「出来ルワケガ無イダロウ。私ハ別ノ世界カラ来タンダカラナ」 別の世界から来たホワイトスネイクにはどだい無理な話である。 「はあ・・・あんたって本当に変わってるのね」 「ダッタラ何デ私ヲ呼ンダノダ」 次第にホワイトスネイクは、目の前の小娘に辟易し始めた。 無理も無い話だ。 何せ、彼の以前の本体はエンリコ・プッチ神父なのだから。 亡き親友DIOの目的の達成のために「天国」を目指し、 そのためにあらゆる犠牲をいとわず残酷さ、そして比類なき精神的強さを兼ね揃えた男。 加えて、ホワイトスネイクを己の手足のように自在に駆使し、スタンド使いとしても他を圧倒した男。 意思を持つが故にアイデンティティ ――スタンドとしてのアイデンティティを必要とするホワイトスネイクにとって、 これ以上に優れたスタンド本体は無かった。 それに比べて、この小娘のこの有様。 我侭だし、ヒステリーだし、あまり考えは深くなさそう、と来ている。 プッチ神父とでは雲泥の差だ。 などとホワイトスネイクが考えているとは露知らず、ルイズは話を続ける。 「じゃあ最後に、使い魔は主人を守る。自分の体を犠牲にしてでもね」 「無理ダ」 「どうしてよ?」 「私ハスタンドダ。スタンドノダメージハ本体、ツマリオ嬢サンに反映サレル。 例エバ私ガ右腕ヲ切リ飛バサレタナラ、オ嬢サンノ右腕モ同様ニ切リ飛バサレル」 「・・・何言ってんの? あんたバカ?」 これにはさすがのホワイトスネイクもイラっときたが、 ルイズのスタンドについての知識が皆無に等しいことを考慮して、思いとどまった。 その代わり―― 「ナラ試シテミルトイイ」 そう言って、自分の脚をルイズにひょいと差し出した。 スネを蹴っ飛ばせ、というメッセージである。 「・・・後悔しないのね?」 「ダカラサッサトヤレバイイ」 それを聞くと、ルイズは容赦なく、全力で、ホワイトスネイクのスネを―― バグオォッ!! 蹴っ飛ばした。 「グオォッ!」 そしてそのあまりの威力にホワイトスネイクが呻き声を上げるッ! 余談だが、訳あって魔法を使えない…もとい、使わないルイズは 他の生徒がレビテーションで移動するところを常に走るだの歩くだので移動していた。 つまり細くてすらっとした見た目とは裏腹に、ルイズの足には実に健康的なレベルで筋肉がついていたのだ。 背も低いしやせっぽちのルイズに蹴られたところで大して痛くは無かろう、 と踏んだホワイトスネイクのアテは大きく外れたわけだ。 というわけで、痛みのあまり蹴られた方のスネを庇うホワイトスネイク。 だがルイズのほうはちっとも痛がってるフシが無い。 「…オ嬢サンは痛クナイノカ?」 「は? 何言ってんのよ。痛い訳ないじゃない」 「…失礼スル」 そう言うと、ホワイトスネイクは素早くルイズに近寄り、その右足を確認する。 かなり急いで移動したため、風圧でルイズのスカートが捲くれ上がるが、そんなことは一向に気にしない。 というか、ホワイトスネイクはそんなことには気づきすらしない。 それよりも確認すべきものがホワイトスネイクにはあったからだ。 そして―― 「馬鹿ナ…」 果たして、ルイズの右足のスネにはアザ一つ無かった。 ホワイトスネイクは混乱する頭で考える。 これは一体どういうことだ? スタンドである自分のダメージが、どうして本体である小娘に反映されない? これも魔法とかによるものなのか? などと考えたところで、ふとあることに気づいた。 今、自分はこの小娘を「本体」だと考えた。 ならばその逆、この小娘が「本体」でないとしたら…。 「…の……」 何か声が聞こえた気がしたが、そんなことは些細なことでしかない。 ここでホワイトスネイクはある仮説を思いつく。 ①スタンドは個々の精神がヴィジョンとなって現れたもの。 ②だが自分はあくまでプッチ神父の精神のヴィジョンなのであって、小娘の精神のヴィジョンではない。 ③また会話をする限り小娘とプッチ神父の精神はあからさまに正反対なので、 プッチ神父が水族館でやっていたようにスタンドと精神が結合するとは考えづらい。 ④視覚聴覚の共有、ダメージの共有が無いのはこれが原因か? 「……この………」 おそらくはこれであっているのだろうが、まだまだ検証は必要だ。 とそこまで考えて、やっとホワイトスネイクは頭上から聞こえる声に気づいた。 そして顔を上げると―― 「この大バカーーーーーーーッ!!」 ドグシャアッ! 顔面を全力で蹴り飛ばされたッ!!! 「ブゲアァーーーーッ!!」 思いっきりぶっ飛ばされ、ドアをブチ破って廊下に転がるホワイトスネイク。 スタンドは基本的に質量を持たないので、無防備のところを蹴られるとよく飛ぶのだ。 「ナ、何ダ!? 一体何ヲスル!」 「召喚されて早々に…ご主人様のパンツを覗くなんて…」 その言葉にはっとするホワイトスネイク。 そういえば、さっきルイズの足を見たときに何かが捲くれ上がったような音がしたようなしなかったような…… そうこう考えているうちに、ルイズが短い棒のようなものを取り出した。 そして、その棒がバチバチと白い火花を上げるッ! その様子に、ホワイトスネイクは直感的にヤバイと感じたッ!! 「マ、待テッ! 何ヲスル気ダ!」 「何をする気、ですって・・・? そんなの決まってるじゃない!」 キッとホワイトスネイクをにらむルイズ。 そして―― 「オシオキよッ!!」 ルイズの言葉とともに、杖が振り下ろされるッ! そしてッ!! ドッグオォォォォオオオン!! 爆発したッ!! 屋内だということを微塵も考慮しない、豪快な爆発がルイズの部屋の前で巻き起こったッ! 「あんたにはあたしの部屋に入る権利も無いわッ! 今日一晩、大人しく廊下で過ごしなさいッ!!」 バタン!、と荒々しく自室のドアを閉めるルイズ。 さらにそのすぐ後にガチャリと鍵を閉める音がした。 言葉通り、ホワイトスネイクを締め出す気満々である。 そして部屋の前にもうもうとたちこめる爆煙が晴れると… 「マッタク…酷イ目ニアッタナ…」 爆発でコスチュームをボロボロにしたホワイトスネイクがいた。 幸い指が吹っ飛んだり腕が根こそぎなくなったりすることは無かったが、モロに食らっていたらどうなったか、分かったものではない。 本来ならそれなりに抵抗したり、人間を無力化できるタイプの命令DISCを差し込んでやるところだが… 自分にスタンドパワーを供給してくれていることもあって、かろうじてガマンした。 「コレカラガ…大変カモシレナイナ…」 そしてホワイトスネイクはそんなことを呟きながら、ドアを幽霊のようにすり抜けて堂々とルイズの部屋に入っていった。 ルイズが疲れて寝てしまっていなければ、きっとホワイトスネイクは地獄を見ていたに違いない。 To Be Continued...
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/11.html
砕けない使い魔-1 砕けない使い魔-2 砕けない使い魔-3 砕けない使い魔-4 砕けない使い魔-5 砕けない使い魔-6 砕けない使い魔-7 砕けない使い魔-8 砕けない使い魔-9 砕けない使い魔-10 砕けない使い魔-11 砕けない使い魔-12
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/976.html
影の中の使い魔-1 影の中の使い魔-2 影の中の使い魔-3 影の中の使い魔-4 影の中の使い魔-5 影の中の使い魔-6 影の中の使い魔-7 影の中の使い魔-8 影の中の使い魔-9 影の中の使い魔-10 影の中の使い魔-11 影の中の使い魔-12 影の中の使い魔-13 影の中の使い魔-14
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/758.html
子供の使い魔-1 子供の使い魔-2 子供の使い魔-3
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/522.html
「決闘だ!」 広場にて宣言するマンモーニ 何やら自分に酔っているようだ… 相対するジョースター卿 何故、決闘することになったのか考える… 私は何も悪くはないのだが… 【逆に考える使い魔】 授業でゼロの意味を知った際に 「逆に考えるんだ、『誰かを爆殺する才能に恵まれてる』と、考えればいいさ」 アドバイスしたら昼食を抜かれた 仕方がないので、主人が食事を終えるまで立っていると 「アリーヴェ・デルチ!(さようなら!)」 グワシャア! (ビンタ音) 「ンだるァ!ゴルァ!(うそつき!)」 ガシャアァン! (ワインをブッかける音) 危険な音はスルーに限る 金髪少年の二股がバレたらしい… 少々可愛そうなのでアドバイスをしてやった 「逆に考えるんだ、『また新しい恋を見つければ良いや』と、考えればいいさ」 …そしたら決闘を申し込まれた… やはり私は何も悪くない… 「貴様には特別な『お仕置き』をしてやる!覚悟は良いな平民?」 いまだに自分に酔いながら私に好き勝手言っている… 決闘を宣言した時点で闘いは始まっているのだ 戦場の厳しさを教えるため、彼に『お仕置き』してやるため こちらを見ようともしないマンモーニに向かって駆け出した!
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1650.html
わたしたちは、ラ・ロシェールで一番上等な宿に泊まることにした。 ワルドさまは全員に向かって困ったように言った。 「アルビオンに渡る船は明後日にならないと出ないそうだ」 「急ぎの任務なのに・・・」 わたしは口を尖らせた、ウェールズ様が敵の手に落ちるのも時間の問題なのに。 「あたしはアルビオンに行った事がないからわかんないけど、 どうして明日は船が出ないの?」 キュルケの方を向いて、ワルドさまが答えた。 「明日の夜は月が重なるだろう?スヴェルの月夜だ。その翌日の朝、 アルビオンが最も、ラ・ロシェールに近づく」 ワルドさまは鍵束を机の上に置いた。 「さて、じゃあ今日はもう寝よう。部屋を取った。キュルケとタバサは相部屋だ。 そしてギーシュとプロシュートが相部屋」 キュルケとタバサ、ギーシュとプロシュートが顔を見合わせる。 「僕とルイズは同室だ」 わたしは、はっとしてワルドさまの方を見た。 「婚約者だからな。当然だろう?」 ワルドさまが、あたり前の様に言った。それを言ってしまえばプロシュートと わたしが同室でも主人と使い魔で当然なんだけど・・・ 「大事な話があるんだ。二人きりで話したい」 そういわれて、断るわけにはいかなかった。 わたしとワルドさまは宿で一番上等な部屋に入った。 テーブルに座ると、ワルドさまはワインを杯につぎ一気に飲み干した。 「きにも腰掛けて一杯やらないか?ルイズ」 「はい、ワルドさま。いただきます」 わたしは言われるままにテーブルについた。 「ルイズ、その『ワルドさま』と言うのを止めてくれないか」 でも・・・ 「僕達は婚約しているんだ、十年もほったらかしにしていたのは悪いと思っている。 その溝を少しでも埋めていきたいんだ」 信じられなかった。婚約といっても両親同士が勝手に交わしたもので、ワルドさまは とっくに別の人を見付けているとばかり思っていた。 「わかったわ、ワルド」 「ありがとう、ルイズ」 わたしの返事にワルドは微笑み満足そうに頷いた。 「それで、ワルド大事な話って何?」 わたしはワルドに本題を促した。 「ルイズ、自分の系統は見つかったのかい?」 「いいえ、まだ見つかっていません」 「そうか、やはり・・・」 ワルドはわたしの返事に複雑そうな表情をした。 やっぱり婚約の事を後悔したのかしら。 「そうよ!やはり、わたしは『ゼロ』のルイズよ」 わたしは、堪らず声を荒げた。 「ルイズ、僕が君のクラスメイトの様にそんな事を言うと思っているのかい」 ワルドの目がつり上がった。 「だって本当の事ですもの」 自分で言って気持ちが沈んでいく。 「違うんだルイズ。きみは失敗ばかりしてたけど、誰にもないオーラを放っていた。 魅力といってもいい。それは、きみが他人には無い特別な力を持っているからさ。 僕だって並のメイジじゃない。だからそれがわかる」 「まさか」 「まさかじゃない。例えば、そう、きみの使い魔」 わたしの使い魔・・・異世界の暗殺者 「プロシュートのこと?」 「そうだ。彼の左手のルーン・・・。あれは、ただのルーンじゃない伝説の使い間の印さ」 「伝説の使い魔の印?」 「そうさ。あれは『ガンダールヴ』の印だ。始祖ブリミルが用いたという伝説の使い魔さ」 ワルドの目が光った。 「ガンダールヴ?」 そういえば、以前コルベール先生がプロシュートのことをガンダーなんとかと言おうとして オールドオスマンに口止めされてたっけ。 「誰もが持てる使い魔じゃない。きみはそれだけの力を持ったメイジなんだよ」 「信じられないわ」 わたしは首を振った。プロシュートの力は疑いようは無いが、自分がワルドの 言うようなメイジなんだろうか。 「四系統に当てはまらない系統、伝説の使い魔」 ワルドの目に妖しい光が灯る。 「これらの事は全て君が虚無の系統であることを示している」 虚無ですって!失われた伝説の系統。それが、わたしの系統だっていうの? 「この世界に始祖ブリミルが残した虚無の呪文が必ず何処かにある。僕がきっと その呪文を見つけ出し君に差し出そう。その時こそ、虚無の系統の誕生・・・いや、復活だ」 ワルドは熱っぽい口調でわたしを見つめた。 「それを信じろというの、ゼロのわたしに?」 「かわいそうに、周りに馬鹿にされ自分に自信がもてないんだね・・・この任務が 終わったら、僕と結婚しようルイズ」 「え・・・」 けっ結婚ですって、だっ誰と誰が? 「僕は魔法衛士隊の隊長で終わるつもりはない。いずれは国を・・・ このハルケギニアを動かすような貴族になりたいと思っている」 「で、でも・・・」 「でも、なんだい?」 「あの、その、わたしまだ、あなたに釣り合うような立派なメイジじゃないし・・・ もっともっと修業して・・・」 わたしは俯いて、続けた。 「あのねワルド。小さい頃、わたし思ったの。いつか皆に認めてもらいたいって。 立派なメイジになって、父上と母上に誉めてもらうんだって」 わたしは顔を上げて、ワルド見つめた。 「まだ、わたし、それができてない」 「僕は君を認めている、それじゃだめなのかい?」 「そんなことないの!そんなことないのよ!」 ワルドがわたしに結婚を求めている。・・・さきほどの伝説の使い魔、失われし 虚無の系統・・・。慰めなんかじゃなく、ワルドは本当にそれを信じているというの? 「わかった。取り消そう。今、返事をくれとは言わないよ。でも、この旅が終わったら、 君の気持ちは僕にかたむくはずさ」 ワルドの言葉に、わたしは頷いた。 「それじゃあもう寝ようか。疲れただろう」 ワルドが近づいて、唇を合わせようとした。わたしは無意識にワルドを押し戻した。 「ルイズ?」 「ごめんなさい、でも、なんか、その・・・」 ワルドは苦笑いを浮かべて首を振った。 「急がないよ。僕は」 わたしは再び俯いた。 どうしてワルドはこんなに優しくて、凛々しいのに・・・。ずっと憧れていたのに・・・。 結婚してくれと言われて、嬉しくないわけじゃない。 でも・・・わたしを認めてほしいと思う両親に、クラスメイトに。 そして、プロシュートに。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/440.html
「これ、嫌いなんだけどな」 少し残念そうな言葉を漏らす女性は、我らがヴァリエール嬢。 朝食にしては豪華な料理が並んでいるが、今日のメニューは少し物足りないようだ。 ここ、トリスティン魔法学院は食事のマナーにも厳しい、が、貴族の食事は社交も兼ねることが多いため、大声で雑談しなければ特に注意されることもない。 今までは誰とも会話せず食事を進めていたが、最近ではキュルケやタバサ、モンモランシーと会話することも多い。 キュルケを見ると、既に食べ終わっている。 朝から食欲旺盛なキュルケを見て、食べた肉が腹でなく胸に行くのは何故だろうと考え、世の不公平を感じた。 しかし、キュルケと行動を共にすることの多いタバサは、ルイズよりも小柄で、胸もぺったんこ。 胸ではかろうじて勝っているルイズだが、彼女はキュルケと同程度かそれ以上の魔法の使い手だ、どっちにしろ魔法では勝てない。 食事があらかた終われば、デザートが配られる。デザートを配りに来るのは厨房付きのメイドシエスタと他数名の役目。 シエスタは平民だが、ルイズにとっては気の許せる友達でもある。 しかし、胸の大きさは明らかにルイズよりも大きく、これに関しては憎い相手であった。「ヴァリエール、ちゃんと食べないと背どころか胸も小さいままよ?フフン」 キュルケにとっては軽い冗談だったが、その言葉を聞いたルイズとタバサは意を決して苦手な料理に手を出すのだった。 しばらくしてメイド達はデザートを配り始めた。 いつものようにシエスタがルイズの右隣に立ち、ケーキの乗った皿を慣れた手つきでテーブルの上に置く…はずだったが、今回は珍しく別のメイドがデザートを置いた。 いつもいつも同じ列ばかりを担当できないのだろう、と思ったが、あたりを見渡すとシエスタの姿だけが無い。 厨房内の仕事でもしているのだろう、と思いながら、ルイズはデザートに手をのばした。 まもなく食事の終わりを告げる鐘が鳴り、生徒たちは食堂から出て行ったが、ルイズは考え事をしているのか、席に座ったままだった。 「ヴァリエール、何してるのよ。まだ食べ足りないの?」 モンモランシーの言葉に促され、ルイズは腑に落ちないものを感じつつも、席を立ち食堂を出て行った。 そんなルイズを、料理長のマルトーが、何か思い詰めたような表情で見ていた。 午前中の授業が終わり昼食の時間。 朝に続き、昼にもシエスタが顔を見せないの この学院で過ごしている生徒達の大半は、貴族だけあって人の顔をよく覚えている。 しかし、平民のメイドが一人いなくなったからといって、気にすることはない。 『ゼロのルイズ』とあだ名されるほど魔法が苦手な彼女は、そのコンプレックスから負けん気が強く、貴族の権力を傘にして威張り散らすこともあった。 シエスタを助けてから…いや、正確には奇妙な夢を見るようになってからだが、ルイズは『素の自分を見せることが出来る友達』の大切さを自覚し、シエスタをはじめとする平民に目を向けるようになったのだ。 昼食も終わり、午後の授業が始まる。そして午後の授業を終え、夕食の時間が来た。 タバサの指摘を受けて、ようやくルイズは異変に気づく。 食前のお祈りを唱和した時、タバサはルイズの隣で一言「給仕口」と告げたのだ。 ルイズが給仕口を見ると、マルトーと目があった。 それに気づいたのか、マルトーはそそくさと厨房へと隠れてしまった。 その日の夜、明かり一つない食堂のテーブルクロスがもぞもぞと動き、ルイズが顔を出した。 ルイズは鍵を開ける魔法を使えない。爆発を起こさず厨房に忍び込むため、食堂にじっと隠れていたのだ。 給仕口から厨房に行くと、そこには小さなランプが灯されており、その下でマルトーがじっと誰かを待っているようだった。 シエスタなら今のマルトーに、まるで覇気がないと気づいただろう。 「…何か用?」 「 ! …あ、貴族様でしたか。こんな夜更けに、厨房に何か」 「何言ってるのよ。じーっと見られてたら何かあると思うじゃない。今日はシエスタも顔を見せないし。私に用があるんでしょ」 「………」 しばらくの沈黙の後、マルトーは話し始めた。 「昨日学院を視察に来られた、貴族のお方なんですがね…。その貴族様が、シエスタをたいそう気に入ったらしいんでさ。」 ルイズは思わず唾を飲み込んだ。いやな予感がするせいか、少し眠気の混じっていた頭が急速に覚醒していくのが分かった。 「今朝、シエスタは連れて行かれました。『昨日はこの平民が貴族に無礼を働いた』とか言われましてね。頭が真っ白になりましたよ。昨日はさんざん褒めて、今日になったら反逆者扱い。何だってんだ!」 マルトーの拳が、ドン!と、厨房のテーブルを響かせた。 「貴族様ってのは何なんですかい!?シエスタが何をしたって言うんですか!俺は、俺は女衒じゃない!」 マルトーはテーブルの上に置かれた小さな袋を壁に投げつけた。ガシャン、という音ともに散らばったのか、10枚ほどの金貨だった。 「貴族様、ヴァリエール様!何とか出来ねえんですか!シエスタは、連れて行かれた時、ルイズ様には言わないでくれと言ったんでさ。ですがね、泣きながらそんなことを言われたら、黙ってられるわけが無いじゃありませんか!」 ルイズは、怒りと悲しみの混ざったマルトーの声に、不思議な感覚を覚えた。 怒りが一巡して、恐ろしいほど体が冷めていく気がする。 昨日視察に来た貴族は、魔法学院その他の、国の重要機関を監査する立場の貴族だ。 本当の事かどうか分からないが、平民の少女だけを集め、ハーレムを作っているという噂を聞いたことがある。 しかし、思い返してみれば、自分の姉も母も、その貴族を毛嫌いしていた。 おそらく事実なのだろう。 考えてみれば、今日はオールド・オスマンが王宮に呼ばれ、学院にいない。 その隙をねらってシエスタが連れて行かれた。 「…オールド・オスマンがお帰りになられたら、すぐにその話を伝えて」 そう告げると、ルイズは使用人通路の鍵を開けさせて、一目散にシエスタを連れ去った貴族の別荘へと走っていった。 マルトーは、シエスタの言う『おともだち』のルイズを今ひとつ信用しきれていない。 だが、ルイズ以外にこんな話が出来る相手もいなかったのだ。 ルイズは地面を『蹴り』瞬く前に空高く、そして遠くへと跳躍していった。 その姿を見たマルトーは『ゼロ』と呼ばれるメイジでも、空を飛ぶことは出来るのかと、素直に感心していた。 前へ 目次 次へ